回想録その四~テラくんマジック~
てらが救急車で運ばれて、残ったのは、空しさと、腹立たしさと、混乱と、涙と・・・・マイナスなものばかりだった。正直言って、てらの心配は、さほどしていなかったと思う。私は、まだあの時点では、全くてらの母親にはなっていなかった。それどころか、この妊娠、出産を全てキャンセルしたいという思いと必死で戦っていた。頭も心もはちきれそうなくらい、フル回転していた。
てらが、産まれた夜に私は、友人知人達にメールをした。常日頃からそうだけど、私は、心にある事を周りに話すことで、自分の考えをまとめたり、気持ちを落ち着かせたりするのが性分。赤ちゃんがダウン症を持って産まれて来た事と、私の混乱を書いて、一斉に何十人に送信した。突然の、ショッキングで、くら~いメールを見て、みんなさぞかし、戸惑っただろうと思う。私にそんなメールが来たら、何て返していいか分からないと思う。送信後間も無く、返事が次々に帰って来始めた。みんな一生懸命考えて、メールの文章を書いてくれたんだと思う。私を傷つけないように、どう励ましたらいいかという苦悩が、一つ一つのメールから読み取れた。ある友人は、何度も何度もメールを書いては書き直し、結局送信できなかったと後から聞いた。彼女からのメールは受け取れなかったけど、その気持ちは、同じくらい嬉しかったし、感動した。私の周りのみんなの優しさをひしひしと感じた。本当に、本当に、本当にありがたいと思った。
入院二日目、友人達が来てくれた。私の話を聞き、私と一緒に泣いてくれた。夕方には、長年の親友達が、駆けつけてくれた。その親友達が帰る頃には、涙も笑顔に変わって、少しだけ、いつもの私が帰ってきた気がした。友達って、本当にありがたい。自分で言うけど、私、かなり意地悪で、嫌なやつだったりもする。そんな私に、呆れながらも長年付き合ってくれて、いざと言うときには必ず現れる友達。感謝は、言葉になんかならない。
友達じゃない人たちの優しさにも触れた。看護士さんや助産士さんたちが、私の部屋にやってきては、気遣ってくれた。看護士長さんは、自分の息子さんにも障害があって・・・と、わざわざ部屋に来て、一緒にがんばろう・・・と話してくれた。 てらが、ダウン症を持って来なければ恐らく、触れなかったであろう優しさに触れることができた。私は、この現象(?)をてらくんマジックと名付けた。そう、このブログのタイトル。てらが、産まれてなかったら、きっとこのブログも始めていない。てらが、産まれたことで起こる、私の周りの様々な事は、てらくんマジック。
周りの励ましと支えで、入院三日目には、私の心は、なんだか、さっぱりしていた。てらの事を前向きに考えられるような気がしていた。本当に不思議なんだけど、産婦人科のきれいな庭を見ながら食事をしてるとき、庭に、キラキラしたものが降ってきたように見えて、‘やっと、てらが、私のところにやって来た。。。私は、この日のためにずーっと準備してたんだ~。’って瞬間的に思った。 ついにイカレタか それともてらくんマジック始まりの合図
ダウン症の子を産んで育てるのは、実際、‘キラキラ’なんて、奇麗事ではない。今でも毎日が葛藤。でも、私には仲間がたくさんいる。メタボチックダーリン、ヤンチャ坊主たち、じい&ばあず、そして友人たち。親友が言ってくれた、「てらくんを一緒に育てるつもりでいるから。」 こんな事言ってくれる友人がいる私は素晴らしい人間に違いない
みんな、本当に本当にありがとう。私は幸せだぁ
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コメント
自分の思いを文章にして表すのは、心理学的にも良いことだってなんかで読んだよ。
私も一つはき出しようのブログ持ってて、それに自分の落ちてるときの気分を書き連ねてるよw
むっちゃんからメールが来たとき、最初驚いちゃってさ。
なんてメール送ったか、よく覚えてないんだよね。
でも、むっちゃんがそんな風に思っててくれてるってことが嬉しいな。
意地悪?むっちゃんが?
カゲのボスだけど、意地悪ではないよ
投稿: みかりん | 2009年10月12日 (月) 16時25分
影のボスなんて、とんでもありません
隅で、小さい声で、こうなったらいいなぁ・・・って言ってると、聞き届けてくれる人がいっぱいいるだけよ~
みかりんみたいに
いい仲間にめぐり合えて幸せで~す
投稿: むっちゃん | 2009年10月14日 (水) 16時09分